1Q84

文庫本で6冊あったが先が気になってすぐ読み終わった。
エンディングがただのファンタジーだったのが少し期待外れではあったけど、「物語を紡ぐ」力には脱帽。

ボクたちはみんな大人になれなかった 燃え殻 (著)

エモい。一言で言うと、エモいです。
ボクたちがみんな、ボクだけの物語として胸に秘めている(記憶の外に追い出そうとしている)傷を、「これでしょ?」と差し出してくる。

 

彼の文章はTwitter発祥(?)のせいか、一文一文がスッと腑に落ちるリズムで成り立っている。途中で読者を迷子にさせたりしない。
それ故に、SNS世代の我々に「届く文章」になっているようだ。

ハルキストの私としては、多少物足りなさは感じた。
すぐに春樹と比べたがるのがハルキストの悪い癖。

たのしごとデザイン論〈クリエイターが幸福に仕事をするための50の方法論。〉

最近、仕事関連の本をよく読んでるな・・・「人のやり方」を知ると自分のやり方にはなかった方法に出会えてすごくヒントになる。

こういう、誰かの「私はこうデザインについて考える」っていう話を聞くのは楽しい。
この本には、先輩とサシで飲んでて思わず真面目トークしちゃって、「先輩!勉強になります!」と思わず言っちゃうような、そういう温かみと実体験に基づくヒントが詰まっている。

私がそうだったのか、と目から鱗だったのが「デザインは抽象化すること」という視点だ。この言葉は本書の中でたびたび出てくる。
確かにそう言われれば、基本的なことなのかもしれないけど、私の視点には抜け落ちていたな、と思った。
デザイナーというとそこにある要素を飾り立てる行為のように思われがちだし私自身そう思っていたフシがあるけれど、「抽象化」こそはデザイナーの本質だと言われて、デザインに対する視線が変わった。
「抽象」という言葉で、頭に浮かぶのは原型を留めていないというか適当に描いたとしか思えない絵の具の飛び散った、そういう不可解な絵を思い浮かべてしまうと思う。(私はそうだ。)
けれど、著者は抽象とは、その対象から本質となる部分を抽出してそれ以外の部分を削ぎ落としていく、その作業だと言っている。
ー 例えば象を描く時に、何が象を象たらしめているのかを選択し抜き出してそれ以外の部分は削ぎ落としていく行為、これこそが「デザインする」ことだ。象という対象からある人は長い鼻と大きな耳を象の本質としてイラストに起こす。そして見極めた本質以外の部分をどのように削ぎ落とし本質をどのように描くかそれが「デザインする」ということだと。

他にも、デザインの先輩からの「勉強になります!」なお話が詰め込まれてて、今私はやる気に満ちています笑
なんか最近スランプだって方に特に読んでいただきたいです。

たのしごとデザイン論〈クリエイターが幸福に仕事をするための50の方法論。〉
カイシ トモヤ (著)

★★★★★

プロのフライヤーレイアウト 映画・アート・音楽・演劇のデザインアイデア

私はあまり紙のデザインの経験がないのですが、最近紙のデザインをすることがあって煮詰まっていた時に借りた本です。(手元に置いておきたいので買いました!)

私はWebが主なので、情報量を媒体のサイズに合わせるという発想が乏しいな、って気づきました。
Webだとまず伝えたい情報があって、それに合わせて情報の設計なり画面上のレイアウトなりを考えます(そしてそのサイズは下にほぼ無限、またはページを無限に送ることもできます)が、紙の場合はまず相手に渡すサイズ(A4なり名刺サイズなり)があってそれに上手く情報をフィットさせていく作業なんですね。
これはどちらが優れているという話ではなくて、Webは情報をすべて詰め込めて(というかそもそも詰め込むという概念がすでに紙的かもしれない)ユーザーはその海を泳ぐことができるし、紙はユーザーが最初に目にした時手に触れた時にその量感がまず伝わり、その量感に収まる世界を手に入れることができる。
なんかポエムになっちゃったけど、最近紙のデザインもおもしろいなって思ってます。

そういう意味で「映画・アート・音楽・演劇のフライヤー」ってすっごく紙的ですね。
(無理やり本の話に戻した。)(戻りきれてない。)

プロのフライヤーレイアウト 映画・アート・音楽・演劇のデザインアイデア
フレア (編集), グラフィック社編集部 (編集)

★★★★☆

仕事のスピード・質が劇的に上がる すごいメモ。

この前読んだ「伝わっているか」がよかったので、同じ著者、コピーライター小西利之さんの本を買ってみました。
正確には興味があった本がたまたま小西利之さんの本だったってことなんだけど。最近アイデアをノートに書き溜めていくことが多くなったので(それ以前はアイデアをどうしてたのかまったく覚えてないし、そのアイデアがどこへ行ったのかももちろんわからない)。

この本の中で強調されてたのは「人は忘れる」ってことですね。
いや、ほんと、数時間前の打ち合わせの内容すでにあやふやですもんね。
それでノートを取るんですけど、やっぱり数週間前のノート見ても、何を覚えておこうと思ってそのメモを書いたのかわからないんです。
この「思い出す時間」のコストとリスクって大きいなって思います。

本書ではこういった「後から見てわかるメモ」だけでなく「人に伝えるメモ」、「アイデアを生み出すメモ」などを14のメソッドに分けて解説しています。どれもが目新しいものというわけではないけどかなり実践的でヒントになることが書かれていました。
特に「アイデアを作るためのメモ」はもうすでにメモの取り方の範疇を出ているんですが、とても参考になりました。よーし!(意欲)

仕事のスピード・質が劇的に上がる すごいメモ。
小西 利行 (著)

★★★★☆

伝わっているか? 宣伝会議

6月23日現在、今年一の良書です。
コピーライティングの本かと思って買ったのですが、もっと根元のマーケティング的な発想の手法がわかりやすくユーモラスに解説されています。
(どの辺がユーモラスかと言うと・・・イルカが出てきてその手法を伝授してくれるんです・・・伝わって「いるか」?って・・・ね?ここ大事なのでもう一度言っておきますね・・・伝わって「いるか」)

この本で私が一番評価しているのは、それぞれの手法がストーリー仕立てで読むのが辛くならないようにできていて、この本自体が「伝わる」ということを体現しているところです。私に伝わりました!
例えば、一回断られている同僚をどんな風に誘えば合コンに来てもらえるか、とか。過疎の田舎にどんなアピールをすれば若者たちが訪れる町になるか、とか。

端的に言うと、「人に伝えるためのその言葉、売り方が自分よがりになっていないか?相手の立場になって本気で頭を使っているか?」ということです。
最近勧められて読んだ「どうすれば、売れるのか?―――世界一かんたんな「売れるコンセプト」の見つけ方(木暮 太一)」 にも似た表現が出てきました。
売れるものは「自分が何を売りたいか」ではなく「相手が何が欲しいのか」を考えられている。主語が自分になっていないか。

この本は単純な言葉遊びではないので、「すでにサービス内容がカッチリ決まってしまっていてコピーだけを頼まれた」という場合には使える範囲が限られると思いますが、これから自分たちでサービス内容を詰めていこうという段階では実践的なヒントが山盛りでした。

ぜひ一度イルカのしょうもないダジャレを読んでください。

伝わっているか?
小西利行 (著)

★★★★★

世界一わかりやすいマーケティングの教科書

初心者にもわかりやすく読みやすい。

そんなうまくいく?資金が潤沢にある大手の理論じゃない?というところは多々あるけど、「コンセプト決め〜企画〜情報収集〜商品開発〜価格決めや売り方などの検討〜参入」の大きな流れ(ケースバイケースで前後する)はわかった。
また著者はそれらの間で社内外の人を説得するコミュニケーションが重要だと力説していたのが印象的。

内容が実践的ではなくて残念だったけど、教科書なんでしかたないか。

世界一わかりやすいマーケティングの教科書
宮永 博史 (著)

★★★☆☆